「地球交響曲第五番」の製作をスタートします。
企画コンセプト------------
「母なる星地球は、それ自体が一つの巨大な生命体としての仕組みを持っており、私達人顆もまた、その人智を超え
た複雑、精緻な生命の仕組みの一部分として生かされている。」 J.ラブロック「ガイア理論」

このまぎれもない「生命の摂理」を私達ひとりひとりが、日常生活の場で、政治、経済、教育、科学、芸術、文化の
場でフト思い出し、ほんの少し生き方を変え、選択を変えることが、病める地球を癒し、健康で豊かな未来を築く鍵
になる、というのが映画「地球交響曲」のシリーズの願いでした。このシリーズは、20世紀末の10年間に第一番か
ら第三番まで3本の映画が完成し、観客自身に依る活発な自主上映活動に依って、180万人を越える観客動員を果た
しました。
この自主上映活動の動きは、「地球交響曲」の願いが、単に願いにとどまらず、現実的な力になり得ることをはっきり
と示しました。そして、21世紀最初の「地球交響曲」第四番が、2001年8月、観客自身が最初からスポンサーになる、
という前代未開の「ひとコマスボンサー」運動に依って完成したのでした。ところが、「21世紀に生まれ育つ子供た
ちのために」という強い願いをこめてつくった第四番の完成試写会を始めたばかりの2001年9月11日、あの忌まわ
しい9.11テロ事件が起こったのです。
21世紀型技術文明の象徴だったとも言えるニューヨークの二つの超高層ビルが崩れ去ったあの日から2003年夏の今
日までに世界中で起こった様々な現象を見ていると、世界は、「地球交響曲」の願いとは正反対の方向に突き進んで
いるように見えます。
旱魅、洪水、地震、竜巻など頻繁する異常気象、エイズ、エボラ熱、狂牛病、SARSなどの疫病、終わることのないテ
ロ、アフガン戦争、イラク戦争、そして世界不況。このままでは、私達人類は絶滅に向い、21世紀に生まれ育つ子供
たちに耐えがたい苦しみを背負わせてしまうのではないか、という不安さえ覚えます。
しかし、決してそうではない。いや、そうさせてはならない、と私は思います。
今、世界中で起こっている混乱や苦しみは、21世紀の新しい価値観が生まれ出るための「陣痛」の苦しみである、と
も言えるのです。自然なお産における陣痛の苦しみは、それ自体は苦しみですが、それを通過することに依って、新
しい生命の誕生、という珠玉の喜びが生まれ、母(地球)と子(人類)の新しい愛の形が始まるのです。目の前で起
こっている混乱や悲しみに目を奪われパニックに陥ったり、意気消沈してしまうことの方がまずいのだ、と私は思い
ます。
既存の価値観が崩壊してゆく今の時代は、私達ひとりひとりの小さな価値観の変化と、それにともなう小さな選択、
行動の変化が、地球規模の大きな変化を起こし得る時代なのです。こんな時代に最も大切なのは、「全ての存在は繋
がっている」ということへの信頼と、そこから生まれる安心感です。人と人とはもちろんのこと、人と他の全ての生
命、人と物、人と自然環境、人と地球、人と宇宙、そして、人と宇宙創生以来の全ての過去、現在、未来は、具体的、
現実的に繋がっている。今、私達、ひとりひとりが行っている全ての営みは、いかに些細にみえることでも、一切が、
決して消えることなく、いづこかに“記憶”され、未来の世代、未来の地球、未来の宇宙に繋がって生かされてゆく。
そのことに気付き、謙虚さと共に、勇気と喜びをもって価値観を変え、行動、選択を変えてゆく人々を激励する。
これが、「地球交替曲」第五番のコンセプトです。
             「全ての存在は
繋がっている」

地球交響曲第五番の出演者

「第五番」は、これまでの第一番から第四番までと同じように新しい出演者が何名か並列して登場する、というスタイルにはならな
いと思います。もちろん今回初めて「地球交響曲」に登場する出演者もいます。それと同時に、これまでの全出演者が再登場する、
という可能性があります。例えば第一番の出演者違の場合は、鳩影時からすでに14年が過ぎています。かつての出演者違が、今、
2003年のこの時点に於いて何を想っているのかを聞いてみたいのです。又、これまでは互いに面識のなかった出演者同士が、この
日本で初めて出会い、意見を交換する、ということも起きるでしょう。さらに、すでに亡くなった出演者違(野渾重雄、ジャック・
マイヨール、星野道夫他)も新しい出演者の言葉や生き方と共鳴する形で再登場することになるかもしれません。この構成の根幹に
なるのが「全ての存在は繋がっている」という、第五番のコンセプトです。


アーヴイン・ラズロ
(世界賢人会議「ブタベストクラブ」主宰、哲学者、物理学者、音楽家、1932年ハンがノー生まれイタリア在住)
ラズロ博士の主宰する「ブタベストクラブ」には、ダライ・ラマ法王〈宗教)、ジューン・グドール(霊長類学者)、アーサー・C・
クラーク(作家)、ミハエル・ゴルバチョフ(元ソヴイエト大統領)、ピーター・ガブリエル(音楽家)、ジョセフ・ロートブラッド
〈科学者〉、ズービン・メータ(LAフィル指揮者)等々、2人の「地球交響曲」出演者、3人のノーベル平和賞受賞者を含む、40人
にのぼる世界の賢人達が参加し、未来への提言を行っています。
ラズロ博士自身はもともと天才的なピアニスト、7才でリストアカデミー推薦入学、9才でブタベストフィルと共演、15才でアメリ
カデビューを果たし、天才ピアニストとして一世を風靡しました。
20代にコロンビア大学で物理学、エール大学で哲学を学び、30代にはローマ・クラブの創始者アウレリオ・ベッチの右腕として「成
長の限界」などのレポート作成に参加、40代〜50代には国連の調査訓練研究所(?ImR)の所長として発展途上国の問是に取り組
み数々の業績を上げました。彼の提案する「量子真空エネルギー場」理論は、生命の誕生と進化の謎を解き明かすとともに、「全て
の存在は繋がっている」という事実を、科学の側から説明できる考え方として政治、経済、科学、芸術、教育などあらゆる分野で
「持続可能な未来」をめざす人々を勇気づけています。
これまでの「地球交甘曲」の全出演者の言葉や体験もこの理論に照合してみるとより深く納得できるようになると思います。
撮影場所:イタリア・トスカーナ地方、ハンガリー・ブタペスト

石垣 昭子
(草木染織作家、1938年沖縄石垣島生まれ、西表島在住)
沖縄の島々の女性通が守り育ててきた伝統の染織技術の中には、自然を利用し、自然に手を加えながらも、大いなる地球の生命の
循環に実しく調和する底知れない叡智が秘められています。
石垣島生まれの石垣昭子さんは、一度島を出て、東京の美大で学びながら、伝統の染織の奥深さに目覚め、島に戻って廃れかけて
いた草木染の技術を廷らせると共に、21世紀に向けて新しい実を創造し続けている女性です。生きている生命(芭蕉、蚕)から糸
を紡ぎ出し、生きている生命(福本、藍、紅花)に秘められた色を誘い出し、太陽の巡りに寄り添い、月の満ち欠けに波長を合わせ、
ー日、一刻、一瞬たりとも同じではない母なる星毒掘の歌声を聴きながら仕事を続けています。織機に乗った時には、仕事の90%
は出来上がっており、その90%が、自分の力ではない、と石垣さんはいいます。
工房のある西表島、うなり崎、月ケ浜は、龍宮(潅)からやって来た女神(ヤマトの神、という言い伝えがあります〉を祭る西表島
最大の聖地です。代々、女達に依って守られてきたこの聖地は、沖縄随一の白く美しい砂浜が延々一キロ以上も続き、海ガメが産卵
にやってくる場所です。浦内川の真水と潅の水が混ざり合う汽水域で、織り上げた布に新しい生命(魂=マプヤー)を吹き込む最後
の作業“潅ぎらし”を行います。島の人々の普段着を染め、織り上げるために受け継がれてきたこの伝統の技は、今、石垣さんの染
織に依って、地球の女神と交感し、21世紀に新しい生命を誕生させる儀式にまで進化しています。
旧暦の10月(今年は新暦の11月)には、海からやって来るニライカナイを迎える伝統の祭、節祭が催され、石垣さんの染め上
げたうちかけを着た女性が神の司に変身し、ニライカナイを迎えます。〈星立、租納地区節祭、無形民俗文化財)
今、この整地にも女神達のパワーを封印しようとする大型開発の荒波(20世紀型価値観)が押し寄せています。
しかし、この凶暴な力の封印を解き、必ず新しい生命(21世紀型価値観)が健やかに誕生する日が来る、と石垣さんは信じていま
す。
撮影場所:沖縄・西表島

THEMEテーマ-----------
誕生と死
母の子宮に宿った新しい生命は、わずか10月10日の間に、母の子宮の中で、およそ40億年の地球の全生命の進化の
歴史を通過し、その全記憶を宿しながらこの世に生まれ出ます。ひとりの赤ちゃんが持つ、もはや神秘としか呼びよ
うのない精妙な生命の仕組みは、バクテリアから人類まで、40億年の歳月をかけて、誕生と死を繰り返してきた地球
の全生命の「叡智の結晶」なのです。

「生まれ出た者は、全てそれ自体としてすでに祝福されている」
と語った名嘉睦稔〈第四番〉の言葉は、そのことを言っていました。
「母なる星地球の子宮に育まれてきた我々人類は、今や誕生間際まで成長し、子宮の外に生まれ出ようとする宇宙的
誕生(コズミツタ・パース)の時代にさしかかっている」
と語ったラッセル・シュワイカート(第一番)の言葉は、母(地球)から子(人類)へ一方的に生きる力が与えられ
る時代が終わり、母と子が互いに見つめ合い、双方向的な愛を育む時代の到来を示唆していました。
「我々人類は、母なる星地球が、自分がどれほど美しいのか、をみるために生まれている」
と言ったジェームズ・ラブロック(第四番)も、同じことを言っています。そして
「母の胎外に出た赤ちゃんは、へその緒を切られ、一度「死」を通過して、呼吸という新しいへそ甲緒に依って宇宙
の母とつながれてゆくのだ」
と言ったジャック・マイヨールは、今の時代の苦しみが「陣痛」の苦しみであり、その先にこそ、新しい生命の誕生
があることを語ったのです。
「死がある、というのは忌むべきことではなく、全生命の繋がりと進化にとって、むしろ健全なことなのだ」
と語った、フリーマン・ダイソン(第三香)
「長い間、自然の森の中で生活していると、本当は「死」というものがないんだ、ということがよくわかってきます。
あるのはいのちの循環だけなのです。」
ジューン・グドール(第四番)
「ミチオの旅はまだ先へ先へと進んでいる。肉体から去った彼の魂は、これから、さらに重大な使命を果たしてゆく
だろう」と語った星野道夫の友人達。(第三番)
誕生と死は、「全ての存在は繋がっている」という第五番のコンセプトの証です。
その視点をもって、「誕生と死」を見つめてゆきます。


再会と出会い-----------

2003年の夏から2004年の春にかけて、かつての「地球交響曲」の出演者や関係者達が、次々に日本にやって来ます。
例えば、2003年夏には第二番、第三香の主題歌を歌ったスーザン・オズボーン、10月にはダライ・ラマ法王(第二番)、
他ジェームズ・ラブロック(第四番)、11月にはジューン・グドール(第四番)。この他、ナイノア・トンプソン(第
三番)、ジユリー・ロペス(第四番)、ラッセル・シュワイカート(第一番)等々にも来日の可能性があります。この
人々に、来日の折、2003年の今、なにを想っているのかを開いてみたい、と思います。又、これまで直接に出会った
ことのなかった出演者同士、例えば、ナイノア・トンプソンと星野直子さん、ジユリー・ロペスと佐藤初女さん、ダ
ライ・ラマ法王とジェームズ・ラブロック、といった「夢」の出会いが生まれるかも知れません。
2003年から2004年にかけて、この日本で生まれる再会と出会いも又、「全ての存在は繋がっている」ことの証となる
でしょう。